COMPLETE BEST 1974-1997


Complete Best 1974-1997 / 憂歌団

Complete Best 1974-1997 / 憂歌団「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」とともに「なにわブルース」の幕を開け、その後も四半世紀にわたって活動を続けた「憂歌団」の、オールタイム・ベスト・アルバム。1974年のデビュー・アルバム『憂歌団』は残念ながら今は新品では手に入らないが、本作もデビュー作と同じ冒頭「嫌んなった」ではじまる。
 
「嫌んなった、もう駄目さ  だけどクサるのは止めとこう  陽の目を見るかも、この俺だって」
 
憂歌団の音楽の世界観を要約するかのようなこの歌は、今でも木村充揮のライブでは定番のクラシックだ。
 
人生の裏側、それも「闇の世界」などというようなたいそうな世界ではなく、町の日常生活の裏地のような世界を描くのが、このバンドの得意とするところだ。「おそうじオバチャン」「パチンコ」「midnight drinker」。その一方で、「All of Me」「渚のボードウォーク」といったロマンティックな歌もあっさりとこなしてみせる。
 
誰が名付けたのか、「天使のダミ声」と呼ばれる木村充揮の独特の歌声と、芸術的といってよいほどに昇華された内田勘太郎のスライドギターの音色が、このバンドの二大看板であり、かつ「なにわブルース」の大看板でもある。
 
ステージの上では「アホ」を演じきり、観客のヤジにたくみに切り返す木村だが、「なにわブルース」のもう一枚の大看板の上田正樹と同じく、シンガーとしての彼の音程とリズムはやはり抜群である。そのコミカルな見かけにばかりに目を奪われてしまうかもしれないが、地味ながら確かにバンドをコントロールする島田和夫のドラム、花岡献治のベースも含め、デビュー当初からとても高い完成度をもった演奏を聴かせてきた。
 
四人のうち一人はすでに亡くなってしまったが、高校の同級生ばかりで組んだバンドが四半世紀も続いたということも、いかにもブルース・バンドらしい。

なにわブルースの名盤
ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司
この熱い魂を伝えたいんや / 上田正樹とサウス・トゥ・サウス
COMPLETE BEST 1974-1997 / 憂歌団Ari−ya−mania / 有山じゅんじ
カイロプラクティック・ファンク NO.1 / ザ・たこさん