ぼちぼちいこか


ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司

ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司1970年代の半ばにインディーズ・レーベル設立のムーブメントがあり、それに乗って大阪や京都からブルース・R&Bのバンドが続々と登場した。
 
それらのバンドの中にはすぐに解散してしまったものもあれば、息長く続いたものもあるし、メンバーを組みかえて新しいバンドとして再出発したものもあった。そのメンバーたちは、その後も関西のブルースやR&Bを背負うレジェンドとなっていった。
 
70年代半ばに発表された一連のアルバムの中で、おそらくもっとも長く聴きづけられているのがこの『ぼちぼちいこか』(1975年)だろう。大阪・ミナミを代表するライブハウス「ナンバ一番」にほど近く、彼らがよく食事をしたという「大阪名物くいだおれ」の看板人形と一緒に写した、印象的なジャケット。LPからCDへの移行期にもいち早くCD化され、その後もコンスタントに追加プレスされてきた。クレジットは「上田正樹と有山淳司」だが、正味のところは「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」のデビュー・アルバムといって良い。
 
70年代のアルバムの中でもこの一枚がずっと聴き続けられているのは、完成度の高さが抜きん出ているからだろう。収録された10曲の多くが、今でも彼らのライブでは演奏される。まず楽曲自体の、曲や歌詞や編曲の、完成度が高い。
 
華やかな北新地のプライドの高さを皮肉った「あこがれの北新地」や、夜な夜な現れる、おどろくほど美しいおカマのお姐さんの独白「可愛い女と呼ばれたい」は今でも彼らのライブに火をつける曲だし、メンバーの名前を歌詞に織り込んだ「俺の借金全部でなんぼや」は奇妙なリアリティを伴って彼ら自身の生き様を伝えるかのようだ。そして、今でも有山じゅんじのライブでアンコール曲として定番になっている「梅田からナンバまで」は、「御堂筋開通80周年」の「勝手に応援ソング」として2017年に再録音された。
 
さらに演奏の完成度も抜群だ。なんといっても上田正樹の若々しいハスキー・ボイスと、有山淳司のギターのガッチリしたリズム感。歌詞の面白さやその不思議なリアリティもさることながら、この二人のサウンドの気持ち良さと抜群のグルーヴのおかげで、何度でもくりかえし聴いてしまうこと、うけあいだ。

なにわブルースの名盤 
ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司
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