Ari−ya−mania / 有山じゅんじ
憂歌団の木村充揮と並んでなにわブルースを象徴するレジェンド・有山じゅんじ。
しかし、キャリアの最初に参加した西岡たかし率いる「五つの赤い風船」はフォークだったし、デビューしたときに参加していた「上田正樹&サウス・トゥ・サウス」はブルースというよりはリズム&ブルース。その頃に書いた曲で今でもライブで定番となっている「梅田からナンバまで」は日本で最初にラグタイムをギターに乗せた曲と評されている。ほかに大好きなジャンルはキューバン・サルサ。ブラジルのジャヴァンなどもカバーしている。最初に弾けるようになった曲は「バラが咲いた」だという。スタートからブルースのどまんなか一筋の憂歌団とはひと味もふた味も違った、有山じゅんじの「世界」をきらびやかに展開する彼のオールタイム・ベスト二枚組である。
有山じゅんじの魅力がどこにあるかは、人によってさまざまかもしれない。声が好き、歌が好き、ギターに痺れる、などなど。しかし、これは本作のライナーにも書いたことだが、きっとどんなファンにも共通することは有山じゅんじのリズムの魅力だ。名だたるプロの人気ミュージシャンにも「有山さんと共演できるならギャラはいらない」という人が何人もいる。こんなにリズムの良いギタリストは世界中にもいったい何人いるだろうという、なにわブルースが誇るその天才が老若男女プロアマを問わず、虜にしてしまうのだ。 本作は「オールタイム・ベスト」といいながら、過去に出した作品からの単なる寄せ集めではない。未発表の録音あり、ゲスト参加したよそのグループの作品からの録音あり、ニューミックスあり。長年有山じゅんじを支えてきた名プロデューサー・畝本洋による渾身の選曲でもある。
「今夜はカキ色の月が」が2トラック、「時代遅れのバースディプレゼント」は3トラックも入っていたりするのも、「C’mon 買いもん」がおなじみの「ぼちぼちいこか」からのトラックではなくLOS RUMBEROSとのサルサ・バージョンだったりするのも、全部理由のあることである。 もうひとつ。古めかしいマーティンのアコースティックギターがトレードマークのようになっている有山じゅんじだが、この人のエレキギターのシャープさ、キレの良さもまた抜群だ。全32トラック。有山ワールドをじっくりさまよっていただきたい。
なにわブルースの名盤 | |
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ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山淳司 | |
この熱い魂を伝えたいんや / 上田正樹とサウス・トゥ・サウス | |
COMPLETE BEST 1974-1997 / 憂歌団 | Ari−ya−mania / 有山じゅんじ |
カイロプラクティック・ファンク NO.1 / ザ・たこさん |